誕生石や鉱石を、ショートストーリー付きで紹介しています。物語つきで、あなたにぴったりの輝石探しがちょっぴり楽しくなるかも?
アレキサンドライト(6月の誕生石)

 天秤座は、八方美人が多いと聞いたことがある。

 弟は天秤座だ。

 O型にも、八方美人が多いという。

 弟はO型だ。

 それでいて、まるでAB型のような2重人格性を持っているとも言える。

 くわえて、次男坊は要領が良く、切り替えが早いのだそうだ。

 弟ときたら、さっきまで激しく兄弟ゲンカしてたというのに、今は友達からの電話に笑顔で応えている。

 何か緊急の連絡網でも回っているらしく、さっきから弟あてにひっきりなしに電話がきていた。

 こっちを向いている間はきりきり眉を吊り上げているくせに、電話を取ったとたん愛想のいい笑顔になる。

 そして電話が終わればまた怒りだし、電話がくればまた笑みを浮かべて話し出す…

 さっきからそれの繰り返しだ。

 いい加減うんざりして、机の上に作りかけのストラップキットを並べた。

 美術商で年中各国を飛び回っている叔父さんが、先週北の大国から珍しい輝石を送ってくれた。

 丁寧に、ストラップに仕立てるキットまでつけて。

 まめな叔父さんだ。自分に子供がいない分、可愛がってくれている。

 弟には、あらかじめ出来上がった輝石の耳飾りだった。

 細かい作業が好きな兄、そして不器用な弟と、甥っ子の性格を把握している叔父さんの気遣いだ。

 作業をしていると、しばらく弟に対する腹立ちを忘れられた。

 窓から差し込む日差しの下で、アレキサンドライトが緑色に輝く。

「そんな細かい作業ばかりしてると、目を悪くするよ」

 電話を終えた弟が、意地悪な笑みを浮かべて厚手のカーテンをひいた。

 部屋の中がさっと暗くなり、手元さえおぼろげになる。

 意地が悪い。

 思い立って、カーテンを開けずに燭代の蝋燭に火を灯す。

 すると、テーブルの上のアレキサンドライトは緋色に煌いた。

「あれ。その石、そんな色だったっけ、」

 弟が不思議そうに首を傾げる。

「そう、多重人格症の石なのさ。誰かさんみたいにね、」


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《アレキサンドライト》 6月の誕生石


和名:金緑石。

意味:愛の充実、秘めた思い。


クリソベリルの変種。太陽光の下では濃緑色、白熱灯・蝋燭の下では赤色に輝く不思議な石。

とても希少な輝石で、とても効果。市場に出回る数も非常に少ない。

人工の物もあるが、製造費が高くつくため高価。天然物と人工物の区別がつきにくい。

二面性のある色合いが柔軟性を連想させるため、身につけると分別よく人付き合いをすることができると言われているパワーストーン。



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