「兄さん、まだなの。まだ着かないの」
柘榴のような赤い唇をとがらせて、弟はさっきからそればかり尋ねてくる。
「もうすぐだよ。ほら、足元に気をつけて、」
火口丘には、気泡の大きな赤茶けた石が目立つ。
足を取られないように、弟の手を引きながら火口へ向かう。
暑さと疲労で、従弟の幼い頬は真っ赤になっている。
「ほら、着いたよ」
山頂にぽっかり開いた火口をのぞけば、ぐつぐつと煮えたぎる真っ赤な液体が渦巻いている。
「網を貸して、あれをすくうんだ」
「ぼくにやらせて、」
「だめだ、お前じゃ重くて持ち上げられない」
「できるさ」
こうなったら弟はてこでも動かない。
しかたなく頷くと、弟の顔が輝いた。
柄の長い網を、おそるおそる火口に差し入れ、真っ赤な液をすくい取る。
水あめのように網にからめとって、一気に引き抜くのがコツだ。
けれど、弟1人じゃそうもいかない。
結局、引き上げるのを手伝った。
火口から引き上げると、外気にさらされた真っ赤な液体は、急速に冷えて固まっていく。
網の中は、みるみるうちに小さな正方形の宝石でいっぱいになった。
「綺麗、まるでドロップだね」
「だめだ。このままじゃ酸っぱすぎる。砂糖と煮詰めてジャムにするんだ」
けれど、弟は聞かず、小さな欠片を口に放り込んだ。
途端に、可愛らしい顔がくしゃりと歪む。
「ほら、だから言っただろう」
呆れていると、弟は小さな舌を突き出して笑った。
その舌も、舌の上の宝石も、火口の色を映して深紅に輝いた。
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《ガーネット》 1月の誕生石
和名:柘榴石、紅榴石とも。
意味:忠実・真実・友愛。
硝子のような光沢があり、硬度が高い。
深紅のものが有名だが、他にも黄・緑・透明などのものがある。
パワーストーンとして、愛情や絆を深める効果があるといわれている。
